お墓を建てるのに決まりはありません。ただ、一般的には遺骨はあまり長く自宅に置かないほうがよいので、
可能であれば四十九日の法要までに納骨するのが理想です。それが無理な場合、一周忌法要までにお墓を建てて納骨するか、
遅くとも三回忌までには行いたいところです。
最近では、寿陵墓つまり、生前墓を購入する方が増えています。
生前墓の利点として、自分で納得のいくお墓を建てることができます。また、お墓や仏壇などは、相続税の対象にならないので、
生前に買われることで、生前の資産から差し引かれるため節税対策になりますし、
後に残った家族への相続税の負担を軽減することができるのです。不動産取得税・固定資産税などもお墓に関してはかかりませんので、
税金の心配をすることなく持っていられます。
「生きているうちにお墓を建てると早死にする」「縁起が悪い」と言うのは迷信です。古来中国や仏教の教えでは、
生前にお墓を建てることは返って縁起がいいと言われています。
墓地は3種類に分けられます。
それぞれ決まりごとがありますので、ご自分にあった墓地を選びましょう。
お寺の境内にあって、その寺院が管理している墓地のことをいいます。
寺院墓地にお墓を建てるということは、そのお寺の檀家(だんか)になることが前提となっているところがほとんどです。
檀家とは、お寺を維持に会費や寄付などで協力したり、住職との交流や寺院の行事などへ参加する俗家のことです。
あらかじめそのお寺の住職にお寺の行事や交流の仕方の確認、信頼して長くお付き合いができるかなどを考慮して
選ぶとよいでしょう。
寺院墓地の利点としては、お墓が境内にあるので法要を本堂で営めること、頼めばいつでも僧侶が読経して供養してくれるなど、
手厚い供養が可能です。また、管理面も安心です。
都道府県・市町村などの地方自治体が管理・運営をしている墓地です。
公営墓地は、墓地にとってもっとも重要な永続性が保証されているほかに、永代使用料や管理費が安く抑えられるのが利点です。
また、自治体が管理しているので宗旨・宗派による申し込みの制限などの宗教的な制約は一切ありません。
ただし、契約に関しては、現住所がその自治体にあること、お墓の継承者がいること、
遺骨があることなどいろいろな条件がつきます。
申し込みや問い合わせは、各都道府県や市町村役場になりますが、公営墓地は募集制でしかも応募者が多いことから、
抽選となるケースがほとんどで入手が困難というのが現状です。また、立地の面では不便なこともありますので、
申し込みにあたっては十分検討する必要があります。
財団法人や社団法人が運営していたり、民間が宗教法人から運営を委託されている霊園で、
宗教宗派は関係なく申し込みが可能な墓地です。
民営墓地は、公営墓地と比べると、永代使用料や管理費が多少割高になりますが、遺骨の有無などで申し込みに制限が
かかることがほとんどありません。墓地によってはお墓のデザインや大きさなどが自由に選べることがありますが、
指定された石材店を利用することが多いです。
墓地選びは家を建てるときと似ています。一度建てたら簡単に移動できるものではありません。 よく確認して検討し、後悔しないご自分にあった墓地を選びましょう。
霊園や墓地によって宗旨・宗派の条件はさまざまです。 仏教ならどの宗派でもかまわないが仏教以外の宗教や、仏教系でも新宗教は購入できないという墓地もありますので、 自分の属する宗旨・宗派は何か、今後どうしたいのかなどはよく考えて決めていきましょう。
お墓参りに行きやすいところが第一条件ですね。 多少離れていても、お墓までのルートや交通機関などを調べて、交通の便がよいところを探すといいでしょう。
お墓にかかる費用には、永代使用料・管理費・墓石代が必要です。 その他、開眼供養のお布施などの諸経費もかかりますので、あらかじめ管理事務局や石材店などに どのくらいの費用がかかるのかを聞いておくとよいでしょう。
墓地の日当たり・風通し・水はけのよい場所、土地柄の気候や地盤などを調べておくことも必要です。
管理事務局や駐車場、休憩所、法要設備などの諸設備の有無や規模は重要です。 最近では、お年寄りや車椅子の方でも無理なくお参りができるように墓地全域を平坦設計している霊園も増えています。
管理事務局があったり、管理人がいる場合は管理者が定期的な清掃や見回りなどをしてくれますが、 ない場合は管理が行き届かないことがありますので管理体制は確認しておきましょう。
大きく分けて3種の費用が必要です。
お墓を建てるとき「墓地を買う」と言いますが、正確には「永代使用権を買う」で、 土地を所有する権利を買うこととは違います。購入時に支払うのみで、内容や制度はそれぞれの契約で異なりますので、 契約内容は十分確認して検討したうえで購入しましょう。
墓石の本体・外柵・工事費が主な建墓の費用になります。墓石は石の大きさや種類によって、 数十万円から1千万円以上とさまざまです。石の種類によって取れる量に差が出るため、多い少ないで価値が決まります。 墓石は雨風にさらされる場所に建てるものです。長持ちさせるためにはお手入れも大事ですが、 まず第一に耐久性が重要になります。 「硬度が高い」「吸水しにくい」「傷やムラのないきめ細かなもの」が良い墓石の条件です。 石材店で石の種類や価格を聞いて、予算や条件にあった墓石を選びましょう。
墓地にある施設の維持・管理に必要な費用で、毎年支払うこととなっています。 公営墓地で数百円〜、民間霊園や寺院墓地は数千円〜数万円、寺院墓地はお布施や冥加金などが必要ですので、 民間霊園より少し高めです。管理費は滞納すると、永代使用権を取り消されることがありますので忘れず払いましょう。
公営・民営・寺院を問わず、墓地には使用する際にさまざまな制限があります。 使用規定基準に当てはまらなくて使用が認められなかったり、守らないと使用権が取り上げられたりすることがありますので、 墓地を購入する際には確認しておきましょう。以下は、事前に確認しておきたい重要な項目です。
公営・民営は大丈夫ですが、特に寺院は場合によって入れないことがありますので、 確認しておくとよいでしょう。
公営墓地では遺骨がないと申し込みができないことがあります。
民営霊園では、指定石材店から墓石を購入することになります。 寺院でも指定されていることがあります。
墓地によって形や大きさに規定がある場合があります。
使用権を購入してから遺骨がなくても数ヶ月以内に墓石を建てなければならなかったり、 外柵だけは整備するよう求められることがあります。
3年前納という例もあります。
管理料の滞納で使用権が取り消しになることがあります。
A:墓埋法で禁じられています。規定違反の場合、罰金などが処せられます。 しかし、刑法でははっきりと定めていませんので違法とならない可能性もあります。 ただ、遺骨の埋葬で周辺の地価が下がったり、近隣の人から苦情が出る可能性があるかもしれません。 公衆衛生の面から考えて、自宅の庭に埋葬することは難しいでしょう。
A:「南向きはいいが北向きは良くない」などという方位でみる家相のようなものです。
仏教的にみてもどの方位が良いという考え自体に根拠がありませんので気にしなくてよいでしょう。むしろ、
暗い場所に位置する日当たりの悪い場所は、日が当たらない分石の劣化を防ぎます。
A:許可している墓地もありますが、たいていは墓地管理者に断られることが多いです。
最近ではペット用墓石を建てられる方も増えてきています。
⇒「ペット墓石」についてのページへ
A:少子化に伴って子供がいなかったり、一人娘で跡取りがいないというご夫婦が多くなっています。
将来的に、管理料の支払いやお墓のお手入れができなくなると予想されるのであれば、申し込みができない墓地もありますが、
一定の条件付で受け入れる霊園もありますので必ず確認しましょう。
無縁になっても霊園・寺院が供養・管理をしてくれる「永代供養墓」や、同じような境遇の人たちで会を作り、
管理をしていく「共同墓」という選択もあります。
A:墓地が遠くてお墓参りに行けないという理由などで、実家の近くにお墓を引っ越すことは可能です。
しかし、お墓が寺院にある場合は、引越しを嫌がる場合もありますので慎重な配慮が必要です。
お墓には「埋没法」という取り決めがありますので、それに従ってことを進めます。
古いお墓の場合、遺骨が土に戻っていることがありますので、その土を取って新しいお墓に埋葬します。